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パーソナルコミュニケーターと呼んだときはコミュニケーションのメディアとしての側面を強調しているし、パーソナル・ディジタル・アシスタントと呼んだときはコンピュータとしての側面を重視した呼び方になる。個人向けの携帯情報ツールの妥当な値段は、だいたい10万円ぐらいだろう。

日本の新しいもの好きなサラリーマンに普及したとして2兆円、世界でもし市場がディジタル双方向テレビに向けて動き出せば、100兆円の市場規模も急に現実味をおびてくる。マーケットの内容は世界マーケットで、トータルで100兆円程度のハードウェア(機器、通信システム)マーケットでしかないだろう。
むしろ、うえで展開されるVMBサービス、インタラクティブ競馬/宝くじ、ディジタル双方向パチンコなどの既存サービスの延長線上の新しいサービスに人々は多くのお金を費やすことになるだろう。第1世代のPDAの失敗は、A5/A6といった小さすぎるサイズと、商品コンセプトのミスリーディングにある。
PDAはさらに小型にするのではなく、A4サイズに大きくして、ディジタルセルラーかIEEE802.11を内蔵し、電子ニュースリーダー、マルチメディア端末、ネットワーク・ハイパーブラウザとして商品コンセプトをリメイクしないかぎり、市場は決して立ち上がらないだろう。PDA市場をめぐる動きはトータルで10兆円規模の市場である。
5年で買い替えるとしても、世界で年間2兆円の市場である。年間2兆円の新しい市場は、いまのコンピュータ市場の規模からすれば、小さいようで大きい。
パーソナルコミュニケーターのように、動画で相手と通信できるPDAは、これからのハイテク市場の一つの柱となるだろう。PDAをはじめとするマルチメディアは、現在のパソコン市場を上回る規模に発展するだろう。
PDA市場をめぐって、すでに各社がさまざまな思惑で、連合離散を繰り返している。1993年8月には、EO社とG社の合併が発表され、新会社と統一されたスクリプトを組み込んだ、EO社設計のパーソナルコミュニケーターを共同開発することとなった。
パーソナルコミュニケーターには、Aの新型、F、O、N、T、Sなどのメーカーが参加を表明した。94年8月には、Aは不振の続くPDA市場から撤退することを決定、EO社を清算した。
市場のアントレプレナーの動きとは少し別の方向にマーケットは向かうだろう。事実、通信機能を標準登載していなかった第1世代のPDAは失敗に終わった。
ゲームボーイに毛が生えた機器に、わざわざ最高速のコンピュータ技術を用いて、値段を高くする必要はない。マーケットが飽和しきった1世代前の半導体を用いれば、価格は10分の1以下ですむ。

マスマーケットとは、そういうものである。PDAも、1世代前のICを使うものが市場を制するだろう。
低価格、安定供給体制の整備、バグのフィックス、使用可能な電力、電圧レンジ、製造の容易さ、豊富なソフトウェアなどなど、優位性は枚挙にいとまがない。携帯情報端末に通話機能が備わっていないのは、話にならない。
ここまで考えてくれば、PDAはどういったものが一般的になるかは、想像がつく。ディジタル携帯電話のICとAT互換機チップセット、1000MIPS程度のDS面とともに手のひらサイズに組み込んだ代物である。
画面が小さいので特別な回線を整備しなくても、64Kビット/秒のISDN回線でも画像リアルタイム圧縮によりフルモーションコミュニケーションが可能である。普通のサラリーマンが使うPDAは、B5かA4サイズになる。
普及型のPDAには、キーボードはついていない。満員電車のなかで吊革片手に、PDAで新聞を読むサラリーマンの姿が日常的な風景となるだろう。
差し込み口がついていて、電話を使って本を買うことになる。外付けのCD‐ROMから本をなかに吸い込んで使う。
駅や売店で新聞を買う代わりに、無線CATVから新聞を買うことになるのだろう。メディアのミソは、単にフロッピーから単行本を読む電子ブックではなく、電話のジャックをつけて電子新聞を読む社会的なニューメディアとして商品を定義し直すところにある。
PDAは新聞を読むためのライフギアになる。さらにサラリーマンは会社に着いたらPDAを机の上に置き、電子ペンで書類や伝票の決済にいそしむことになるだろう。
一方PCSは、ディジタルセルラーの発展形で、ISDNで小画面のテレビ動画をやり取りする携帯テレビ電話に発展する。携帯テレビ電話は、DSPを使えばいまのディジタルセルラーとまったく同じ価格で簡単につくれる。
ホイップアンテナ電話とヘッドフォンジャック電子ベン卜の2インチベルヌーイディスク(ヘッド吸着式ディスク)でもつけておけばいいだろう。一般の人々が手にする電子手帳のマルチメディア商品は、PDAの電子部品でつくられた、ウィンドウズの走るAT互換ディジタルビデオフォンになることも十分考えられる。

「パーソナルコミュニケーター」や「PDA」は高いだけで、ほかに使い道がない。独自設計とか独自OSとか、変なことに色気を出さないかぎり、AT互換FILOも良いかもしれない。
いずれにしても、これらの場合はアメリカ市場をめぐって、台湾を生産基地とするアメリカ勢との対決は避けられない。そうなれば、日米半導体摩擦のときの対日報復の悪夢の再来がないとは限らない。
こうした携帯ビデオ電話が大衆商品として一つの市場を形成する一方で、小型化を目指したPDAは、一方では逆にA4、B5サイズ程度に大きくなるだろう。エレクトリック・クリップボードである。
もちろん軽さと薄さ競争には一層拍車がかかって、重さは1キロ程度、厚みは1センチ程度に抑えられる。A4、B5サイズくらいの大きさの画面でないと、文書は読みにくくて使いものにならない。
PDAの主要な用途は、ビジネスマンが電子新聞や電子書籍を読むのに使われるようになる。写真がたくさん入った本でも、最近の画像圧縮技術を用いれば容量はかなり小さくできるので、フロッピーディスク1枚ほどの容量があれば、普通の本1冊ぐらいはほぼ収まる。

MDを使えば、マルチメディアタイトルすら可能である。電子新聞、電子書籍を読むためのディスプレイ装置、音楽ビデオを楽しむための携帯マルチメディアプレーヤーとしてのPDAのマーケットは、ディジタル双方向テレビよりも相当早く立ち上がる。
ネットワークインフラを、とくに必要としないからである。情報家電のなかで、8ミリビデオジュークボックスの次にマーケットが立ち上がるPDAは、日本の情報家電メーカーの当座の生命線になるだろう。
Mには、かつて他メーカーが通産省の行政指導に従って大型コンピュータの互換機路線を走るなかで、トップ判断により分野への進出を断念したエピソードがある。時期に大型機に進出しなかったために、いま、一つの大きなマーケットが消失する危機に、直接出くわさないですんだことは幸いだった。
Mが時期に、5万円以下の低価格な製品の投入とともに、マルチメディアマーケットに進出すると表明した経営判断は正しい。どんなものをつくるにせよ、これから大衆化するハイテク市場に進出することは、Mのするべきことである。
将来の採算も期待できるし、仮に失敗しても傷は小さくてすむ。T社はニュースを供給し、Mは買収した映画会社MCAから、映画を用いたディジタル・インタラクティブムービーの供給を受ける。
3DOには三洋、東芝、シャープ、金星電子も参加することになったE社は、世界マーケットのゲームをビジネスにまで高めた。ゲームに特化したソフトバンクである。
優秀なゲームの作者は、E社と契約して、ソフトのマーケティングのすべてを任すことができる。E社により、ゲームビジネスが、著作と出版の分業化した出版ビジネスにまで高められた。

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